
[現行のシカ対策における決定要因と「個体数」の扱いについて](抄録) https://ci.nii.ac.jp/naid/110001888711#ref
拙訳(要点のみ): ニホンジカの管理の問題は、近年 その生息地の自然環境(植生)の破壊が注目されているものの、従来は農林業における害獣対策として(駆除による)個体数の制限が重視される傾向にあった。農作物等の損害と生物多様性の保全の両方を考慮すると、効果的な管理のためには個体数そのものよりも鹿による被害、植生の状況や鹿の生息域についての適切な評価のほうが重要な情報として求められる。そのために野生動物の専門家による少なくとも5年間の継続的な観察が不可欠である。
拙訳(全訳): ニホンジカの管理の問題は、近年 その生息地の自然環境(植生)の破壊が注目されているものの、従来は農林業における害獣対策として(駆除による)個体数の制限が重視される傾向にあった。シカの問題に関する意思決定において、都市部の住民の意見は比較的影響が少ない。シカの管理計画で考慮しなくてはならない問題は、日本においてシカがその自然生息地を破壊しているという懸念から、個体数を増やすべきではないということである。被害のコントロールを目標とした農業志向の研究者と、生物多様性の保全を志向する研究者との対立もある。マスコミはこの問題の論点がシカの個体数であると単純にとらえ過ぎる場合があり、地方の役人はその影響を受けることが多い。効果的なシカの管理のためには、シカによる被害、植生の状況やシカの生息域についての適切な評価が重要な情報として求められる。シカの個体数の評価は優先度が低い。個体数を優先度の高い問題と考えていた以前の誤りを繰り返すことは避ける必要がある。野生動物の専門家による少なくとも5年間の継続的な観察が不可欠である。 |
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